課題：「中古車販売」のようだった従来型採用の限界

10年ほど前から効果が薄れ始めた求人媒体。次に頼った人材紹介サービスも、同社が本当に求める人材との出会いの場にはなりませんでした。そこには、スキルと条件だけで人を動かそうとする、業界構造そのものの課題が横たわっていました。

横山 実様：人材紹介会社経由の採用は、まるで中古車販売のようでしたね。ボンネットの中身である内面やマインドをしっかり確認せず、外装にあたるスキルだけを磨いて「良い人材ですよ」と紹介し、採用が決まれば手数料を得る。そんな感覚でした。

紹介されてくる方も、「とりあえず何でもいいから仕事に就きたい」という方が多く、どうも我々とはピントがずれているな、と感じることがほとんどでした。これでは、会社が本当に大切にしている”魂”の部分は伝わりません。

【図1：本当に必要な情報が伝わっていない構造的課題】

施策：会社の”魂”を、届くべき人に届けるための挑戦

会社の未来を創るためには、理念に共感し、長く働き続けてくれる若手を自ら育てていく必要がある。その決意のもと、新たな一手としてまずは「採用サイトのリニューアル」を実施。その後「Chokusai」を活用したSNSでの求人情報配信を実施しました。

横山 実様：最初に渡されたヒアリングシートがとにかく細かくて、「正直、面倒だな」と思いました（笑）。しかし、そのおかげで、完成したサイトは「ここまで深く我々のことを理解してくれたのか」と感じられるものになりました。その細やかなヒアリング内容が、サイトの隅々にまで反映されているのだと納得しましたね。

【図2：実際のヒアリングシートの一部】

渡邊（株式会社これから）：ご提案の段階から、横山建設様が持つ独自の魅力はもっと伝えられると確信していました。建設系の会社様で社長様自らがブログで発信されているのは珍しく、そういった「想い」の部分をしっかり見せることで、必ず共感する人材に届くと考えていました。

横山 道一様：サイト内の社員インタビューも、御社の制作担当の方が、インタビューの文字起こしから記事作成まで、すべて親身になってやってくれて本当に助かりました。社員全員分のインタビュー素材をお渡しして、全部作っていただいたんです。事務所にいる3匹の犬の紹介ページまであって、この温かみのあるサイトが、会社の本当の雰囲気を伝えてくれたのだと思います。

【図3：採用サイトのBefore→After】

渡邊（株式会社これから）：はい、サイトで表現した「真面目さ」や「温かさ」という”魂”を、今度はSNSを通じて、まだ横山建設様を知らない、しかし親和性の高いであろう方々へ届ける工程に移りました。ターゲットとなるユーザー層の興味関心を分析し求人バナーを複数パターン用意することで、最適な層へ、最適なメッセージを届けられるよう調整を重ねていきました。

【図4：Chokusai配信イメージ】

成果：1時間サイトを熟読した誠実な青年との出会い

「Chokusai」導入後、横山建設様はまさに探し求めていた”真面目”な青年の採用に成功します。それは、短期的なスキルセットではなく、長期的な成長を期待できる、未来への投資となる採用でした。

横山 実様：本当に素晴らしい、真面目な青年です。面接では、物事にコツコツと真摯に取り組む誠実な人柄が伝わってきました。まさに我々が求めていた人物像です。入社後もその印象は全く変わらず、先輩大工からも「非常に積極的だ」と聞いています。

渡邊（株式会社これから）：今回採用された方は、応募前に1時間近くも採用サイトを隅々まで見てくれていたんです。ウェブ上の行動履歴を分析していて、社員インタビューを一人ひとり読み込んでは戻り、また別のページを見て…という動きが見られました。その方がエントリーされた時は、思わず担当とハイタッチしてしまいましたね。私たちの作ったサイトが、会社の想いを深く理解しようとしてくれる、まさに届くべき人に届いたんだな、とチームとして実感できた瞬間でした。

展望：「育成」が最大の投資。未来の担い手を育む

横山 実様：東日本大震災の時、復興のために現地へ足を運んで痛感したのは、いざという時に本当に必要とされるのは、スコップを持って体を動かせる人間だということです。 そうした人材を自社で確保し、育てていくことは、地域に根差す建設業の責任でもあると考えています。

その想いを形にするため、今回彼が入社するにあたって、指導する側の先輩大工に「指導料」を支払う新しい制度を設けたんです。若手を育てる手間と時間を会社が正当に評価することで、教える側も教わる側も気持ちよく仕事に取り組める。こうして若手を大切に育て、会社に定着してもらうことが、目先のスキルを持つ人材を追いかけるより、ずっと重要だと考えています。

横山 実様：私たちの仕事に興味を持っている若者は、潜在的に必ずいるはずです。Chokusaiは、働く人の気持ちの深いところまで落とし込んで、その受け皿を作ってくれる。条件だけで判断されるのではなく、会社の魂の部分で繋がれる採用を、ぜひ試してみてほしいですね。

まとめ：「中古車販売」から「想いが伝わる採用」へ

横山建設株式会社様の事例は、採用活動が単なる人員補充ではなく、企業の文化を伝え、未来の組織を共に創る仲間を探すための「対話」であることを示しています。
「Chokusai」を通じて、これまで届かなかった潜在層へダイレクトに想いを届けた結果、企業の理念や文化に深く共感する人材との出会いを実現しました。そして、その理想的な採用の成功が、新たな人事制度の構築という組織の前進にまで繋がりました。

今回のインタビューを通じて、私たち株式会社これからが改めて感じたのは、横山建設様が元々大切にされていた「真面目さ」を軸とする採用方針と、それを伝えるための温かい社風という土台がすでに備わっていたことです。その土台があったからこそ、私たちのサービスが掛け合わさり、応募数だけでは測れない「質の高い採用」という価値ある成果に繋がったのだと確信しています。

今後、今回採用された方が中心となり、新たな若手が入社し、育っていく。そんな未来のビジョンの実現に向けて、いただいたフィードバックをサービスの改善に活かしながら、これからも伴走者として全力でサポートさせていただきます。